フィンランドの毛糸メーカー、ノヴィータの糸に「ソインツ」という名前のものがあります。フィンランド語で、調和、あるいは和音を意味する言葉です。
この名前は、毛糸だけのものではありません。北欧の食器がお好きな方なら、アラビアやイッタラのシリーズにも同じ名前があることをご存じかもしれません。やわらかい響きを持つ言葉なので、さまざまな商品の名前に選ばれてきたようです。
北欧のものづくりには、共通した感覚があります。特別な日のためではなく、毎日のなかで使われることを前提にしている点です。食器も、家具も、そして毛糸も同じです。棚に飾って眺めるのではなく、手に取って使う。その気安さが、北欧のものが世界中で長く選ばれてきた理由のひとつでしょう。
毛糸のソインツも、その系譜にあります。コットンにビスコースと少量のウールを合わせた糸で、編み上がった編み地の表面には控えめな艶が出ます。派手な光沢ではなく、普段着として着られる範囲の艶です。50グラムで約120メートル、4mmの針で編めます。
編み上がるまでには、ひと月ほどかかるかもしれません。けれども北欧のものの多くがそうであるように、できあがったものは特別な日を待たずに、明日から着られます。
名前の意味を知ってから編むと、少しだけ手元の景色が変わります。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














