編み針を選ぶとき、多くの方が気にするのは、滑りやすさや軽さ、丈夫さだと思います。金属の編み針は、そのために表面へ加工を施し、買ったときの状態をできるだけ長く保つように作られています。ステンレス、アルミ、表面を処理した真鍮。名前は違っても、変わらないことを目指している点は同じです。
リッケのサイプラは、その考え方から外れたところにあります。針先に使われているのは百パーセントの銅で、しかも表面には何の覆いもかけられていません。銅が手や空気に直接触れるため、使ううちに色や光沢が変わっていきます。
変化した表情をそのまま残すこともできますし、専用のクロスで磨いて明るい銅色に戻すこともできます。どちらを選ぶかは、作り手ではなく使う方が決めることになります。
ただし、変化の出方は一定ではありません。手の状態や気候、しまっておく場所によって違いが出ますし、金属のにおいや滑り方の感じ方も人によって分かれます。ほかの方の感想だけでは、自分に合うかどうかを決められない道具です。
変わらない道具をお求めの方には向きません。それでも、使った時間が針に残っていくことに惹かれる方には、長く付き合える一本になります。
どんな針なのかを、先に知ってから決められます。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














