毛糸を選ぶとき、多くの方がまず色をご覧になります。並んでいる色を上から順に見て、きれいだと思うものをいくつか見つけて、そこから絞り込もうとする。ごく自然な順番です。
ところが、この順番だと決まりません。
理由は単純で、好きな色が一つしかないという方は、まずいらっしゃらないからです。青も好き、灰色も好き、少し赤みのあるものも気になる。どれも好きなのですから、比べようがありません。比べる基準がないまま並べていると、時間だけが過ぎていきます。
では何を先に決めるのか。作るものです。
肩にかけるものなのか、大きく広げて使うものなのか、持ち歩く形のあるものなのか。それから、どれくらいの時間をかけたいのか。ゆっくり長く編み進めたいのか、早めに仕上げたいのか。
この二つが決まると、候補が一気に減ります。減ったところで色を見ると、今度はすんなり決まります。選択肢が三つや四つなら、人は迷いません。迷いが生まれるのは、二十も三十も同じ条件で並んでいるときだけです。
グラデーションの糸は、色の移り変わりがあらかじめ糸の中に組み込まれています。ですから配色に使っていた頭の働きは、そちらに預けてしまってかまいません。空いた分を、何を作るか、どれくらいの大きさにするか、どちらから編み始めるかに使えます。
判断の量が減るのではなく、判断する場所が変わる。これが、色が設計された糸のいちばん面白いところだと思っています。
順番を変えるだけです。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














