カシミヤ、と聞いて思い浮かぶのは、冬の大きなセーターや、ずっしりと重いマフラーではないでしょうか。たしかにカシミヤは冬の素材という印象が強いものです。けれど、その持ち味がいちばんよく分かるのは、もっと小さなものを編んでいるときなのです。
サンネスガルンのカシミヤは、ひと玉25グラム。手のひらにのせると驚くほど軽く、針にかけて編み進めると、その軽さが指先からそのまま伝わってきます。糸が手のなかをすっと通っていく感覚は、編んでいるあいだじゅう続く、小さな心地よさです。
編むのは、小さな三角の首元スカーフ。編み進めるうちに模様の透かしが少しずつ姿を見せ、大きな作品のように何週間もかからずに編み上がります。夏の夜、続きが気になって手が伸びる。そんな編み方ができる糸です。
首に直接巻くものは、糸の硬さや重さがそのまま肌に出ます。だからこそ、軽さと柔らかさの差がいちばん分かりやすいのも、この首元の小物なのです。編んでいるときに感じた軽さが、巻いたときにもう一度返ってきます。
カシミヤを「今すぐ防寒する素材」と考えると、夏は出番がないように思えます。けれど「秋のはじめに首元へ足す小さな一枚」と考えれば、夏は編みどきです。涼しくなるころにちょうど使えるよう、いまから少しずつ。重い冬物を出すにはまだ早い、その季節の変わり目にこそ似合う一枚です。
秋にいちばん使う色から、選んでみる。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)
















