せっかく編んだ段染めの靴下が、引き出しの奥で出番を待ったまま、という話をよく耳にします。編んでいるあいだはあれほど楽しかったのに、いざ履くとなると、足元で色が主張しすぎて、手持ちの靴や服に合わせにくい。段染めソックヤーン好きなら、一度は覚えのある小さなジレンマかもしれません。
その引っかかりをほどいてくれるのが、グレーを基調に青みが宿る配色です。ひと針ごとに青が濃くなったり灰色に沈んだりと、編む時間はちゃんと表情が変わります。それでいて一足に仕上がると、不思議と落ち着いて見える。色は動いているのに、騒がしくならないのです。
派手ではないのに単調にならない。この絶妙な立ち位置が、編む楽しさと、履く場面の両方を満たしてくれます。淡い霧青から深く沈んだ深青まで、青みの深さで選べるのも、手持ちの靴や服を思い浮かべる楽しい時間になります。
編んだあとに、ちゃんと出番がある一足を。
編む楽しさは、履く楽しさにつながります。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














