ポピーを初めて手にしたとき、思わず二度、持ち直しました。毛糸玉というものは、もう少し重いものだと思っていました。思わず老眼鏡を取り出して、糸をのぞき込むと、繊維がふわりと空気を抱いているのが見えました。重さがないのは、そういうことでした。
だって空気なんですから。
春の編み時間は、糸で決まると思っています。重さのある糸と、空気みたいな糸とでは、手の中の感覚がまるで違います。どちらが心地よいかは、言わなくてもわかっていただけると思います。
窓から光が入る午後に、膝の上にポピーを置いて、ただ編んでいる。糸は軽く、手は自然に動いて、時間がゆっくり流れていく。そういう編み時間を、今年の春に一度、自分に用意してみてください。
空気を混紡した糸を見てみる
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)















