おはようございます、細野カレンです。
毎年、いくつもの靴下を編んできた方なら、おそらくもうご存知だと思います。新しい季節の入り口に、いつもの手順で編みはじめたはずの糸が、ふと少しだけ違って見えるときがあることを。
目の流れ。手の速度。気持ちのまとまりかた。どれも変わらないはずなのに、なぜか、ちょっとだけ違う色を探したくなる朝があるんですね。
そんな気持ちにそっと添うように、新しい色をふたつ、ご紹介できることになりました。


ONline「リーニエ12」シリーズに、新しく加わったのは、色番0133と0134。どちらもこの春にふさわしい、やわらかで深みのある段染め糸です。0133は、青みを含んだベージュが織りなす、陶器のような静けさ。0134は、淡い赤紫と生成りがふんわりと重なる、落ち着いた華やぎのある一色です。
巻きの状態では模様の出方までは分かりにくいのですが、このシリーズは色番ごとに個性がありつつも、似た染色構成で作られているため、新色でも自然なストライプ状の段染めが表れると考えられます。

こちらは既存色(段染め0127と単色0003)で編んだ参考例です。履き口、かかと、つま先にだけイエローの単色(0003)を使用し、それ以外の部分に段染め(0127)を使って仕上げられています。今回の新色も、全体としてはこれと同じような模様の出方になる設計ですので、仕上がりの雰囲気を想像する参考にしていただけると思います。
そしてこの糸に、ぜひ触れていただきたい理由がもうひとつあります。ソックヤーンでありながら、メリノエクストラファインを贅沢に用いたつくりで、触れた瞬間にすっと指がほどけていくような、なめらかなやわらかさがあります。目立ちはしませんが、肌に直接ふれるものだからこそ、こういう感覚は静かに響いて残ります。
段染めと単色を組み合わせれば、反転配色のショートソックスを2ペア。編みやすさ、軽やかな仕上がり、そして履いたときにだけわかるあたたかさまで、手を動かす時間にそっと添えてくれる糸です。
もし、いつもの色も好きだけれど、少しだけ違う景色を見たくなった朝がきたなら。そんなときにこそ、こうした変化の一玉がそっと力をくれる気がしています。
春の空気が変わりはじめるとき、気持ちの中にも小さな風が通りますね。今日という日も、編む時間がやさしく寄り添ってくれますように。
心より、
細野カレン