靴下編みには、はっきりとした山場があります。かかとです。
履き口からしばらくは、ひたすら同じことの繰り返しです。ところがかかとに差しかかった途端、編み地が急に立体になります。ここで手が止まる方は少なくありません。
フィンランドでは、かかとを二つの手順で作ります。ヒールフラップとヒールターンです。まず、かかとの後ろ側に往復編みで厚みのある布を作ります。これがヒールフラップです。続いて短く往復しながら向きを変え、丸みを作っていきます。これがヒールターンです。
面白いのは、この二つが終わった瞬間に、平らだった筒が足の形になっていることです。数段のうちに起きます。編みながら手のなかで立体が生まれていく感覚は、他ではなかなか味わえません。
そして、ここを越えたあとは早いです。足首から先は目数も減り、ほとんど一気に進みます。
フィンランドの人たちは、この手順で何世代も靴下を編んできました。長い冬を越えるために生まれた形が、そのまま今日まで残っています。
かかとの山を、越えてみませんか。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














