編みものをする人は、街のお店より少し早く季節を追いかけます。店頭に秋物が並ぶころには、もう編み上がっているように、逆算して手を動かし始めるからです。ひとつの作品ができるまでには、ひと月やふた月かかります。だから、いちばん暑い今ごろに始めた人が、風の変わるころにちょうど袖を通せます。
とはいえ、真夏に厚い冬の糸を膝に乗せるのは、気が進みません。重くて、見ているだけで暑い。そこで手が伸びるのが、軽いアルパカの糸です。細いコットンの地にアルパカの毛足を含ませた作りで、アルパカらしい表情を持ちながら、驚くほど軽く仕上がります。
薄く編めば、光を通すような透け感のあるトップスに。目を詰めてしっかり編めば、秋冬の首元を包む小物に。一本の糸で、夏の終わりから冬のはじめまで、編むものを変えていけます。
暑さのなかで、少し先の風を思い描く。その時間そのものが、この季節の楽しみかもしれません。
編みはじめる時期を、糸のほうが待っていてくれます。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)
















