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コットンの糸は、なぜ細いものばかりなのか

コットンの糸は、なぜ細いものばかりなのか

夏になると、コットンの入った靴下用の糸を探す方が増えます。そして、店頭でも通販でも、並んでいるのはたいてい細い糸です。

細い糸は美しい編み地になります。目が詰まり、繊細で、履き心地も軽くなります。ただ、そのぶん目数が増えます。段数も増えます。一段編むのに時間がかかり、編み地はなかなか大きくなりません。夏に涼しい素材を選んだつもりが、いちばん根気のいる作品になっていた、ということが起こります。

つまり私たちは、コットンを選ぶことと、細い糸を選ぶことを、いつのまにか同じものとして扱っていたわけです。

フィンランドのノヴィータが作っているナッレ ケサは、この二つを切り離した糸です。コットンを半分含みながら、太さは並太に近いところに置かれています。百グラムで二百七十メートルほど。靴下用なら三ミリ、それ以外の作品なら三ミリ半の針が合います。

太いから簡単だ、という話ではありません。変わるのは、編んでいる時間の感触です。一段が短く、編み地が目に見えて育っていきます。夜に少し進めて、翌朝それを眺めたときに、昨日との差が分かる。この感覚は、細い糸ではなかなか味わえません。

そして、太さがあるということは、作れるものの幅が広がるということでもあります。靴下だけでなく、帽子や小物、軽い羽織りものまで考えられます。段染めの色は、編み地の面が広くなるほど、ゆっくりと流れて見えるようになります。

糸を選ぶとき、私たちは素材と色を見ます。太さは、その後ろに置かれがちです。けれど太さこそが、これから過ごす時間の長さと手触りを決めています。

夏の素材を、細い糸のままで受け取らなくてもいいのです。

いつもの太さのまま、夏の糸を編んでみてください。

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執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)

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