編み物をする方なら、糸の色には誰もが時間をかけます。棚の前で並べて、出来上がりを想像して、家に帰ってからもまだ悩んで。それくらい、糸の色には気持ちが動きます。
ところが、その糸を編む針の色を自分で選んだ記憶は、意外と少ないのではないでしょうか。手前にあったものを、なんとなく。そんな選び方をしてきた方も、多いかもしれません。
編み針は、作品が仕上がるまでずっと手元にあります。一段ごとに目の前を通り、手を休めれば机に置かれ、また持ち上げられて。糸や仕上がりを見ているようで、その間ずっと、針も視界の中にいます。
リッケのブラッシュは、鮮やかなピンクの木の針です。手に取るとまず色が目に飛び込んできて、編んでいる間ずっとその色が手元にある。ふと目を落とすたびに、少しだけ気分が変わります。
作品の色は、これからも存分に迷えばいい。でも道具の色は、自分の好きなように選んでしまっていいのです。
次に編む時間が、少しだけ楽しみになります。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














