おはようございます、細野カレンです。
春の名残と、初夏の気配がゆっくりと混ざり合うような時季ですね。静かな朝に、ふと手を動かしたくなる気持ち、わかるような気がします。
新しい道具って、良さそうだなと思っても、どこかで「ちょっと面倒かも」と感じてしまうことってありますよね。使うかどうか分からないし、わざわざ買うほどのことかな…と、手が止まってしまう。そんなふうに感じた経験、きっと誰しもあるのではないでしょうか。
でも、一度だけ使ってみたら、思っていたよりずっと簡単で、気づけばまた手が伸びている。そんなふうに“安心できる道具”がそばにあることは、思っている以上に、気持ちを軽くしてくれるのかもしれません。
今回ご紹介するのは、KnitPro(ニットプロ)の輪針プロテクター。木製や竹製などの繊細な輪針を、折れや傷から守るための、シンプルな保護具です。
3色のアルミ製チューブがセットになっていて、片方には柔らかなシリコンキャップがついています。使い方はとても簡単で、輪針の先をキャップにそっと差し込むだけ。針先がチューブの中にすっぽり収まって、周囲のものを傷つけたり、針自体が折れたりするのを防いでくれます。
2.5mmから5.5mmまでの太さに対応していて、靴下針やレース用の細い針にもお使いいただけます。とりわけ木製の細い輪針をお持ちの方には、一本でも守っておきたい気持ちがきっとあるのではないでしょうか。
それは大げさな“道具の整理”ではなくて、ほんの少し、自分の時間を守るためのやさしい習慣。その始まりに、ちょうどいいアイテムだと思います。
「最初は、ただのチューブか…って、ちょっと無骨に感じたんです」
そんな感想をくださった方がいらっしゃいました。
見た目がシンプルすぎて、あまり期待していなかった。しかも、何かを挟んだり巻いたりするタイプのプロテクターに慣れていた方だったので、はじめは頼りなく思えたそうです。
でも、実際に針を差し込んでみた瞬間──
「あれ、これ、すごく楽かも」と、自然に声が漏れたといいます。
動作は一回。挿し込むだけで、スッと針先が包まれて、もう何も気にしなくていい。それがいかに“面倒を超えた簡単さ”だったかに、すぐに気づかれたそうです。
「めんどうくさがりの私に、ぴったりでした」
そのひとことに、道具との関係のあり方が、ふと見えた気がしました。
思っていたより簡単だった。だから、気づけば続けていた。そして、もう戻れなくなっていた。
この輪針プロテクターは、そうして“自然と使い続けてしまう”道具なのだと思います。
朝、少しだけ急いでいるときでも、指先でスッと針を差し込むだけ。深く考える必要もなく、余計な力もいりません。それだけで、なんだか“ひと区切り”がついたような気持ちになります。
そのままバッグに入れても安心。針先のことを気にせず、他の荷物のことを考えられる。そんな変化が、小さな余裕として心に残ります。
たとえば、夜の編みかけをそのままにして休むとき。あるいは、次の外出に持っていく道具をまとめるとき。輪針プロテクターがあるだけで、そこに“安心という習慣”が静かに添えられるのです。
気づけば、それが“しないと落ち着かない”ことになっていた──
そんなふうに感じている方も、実は多いのかもしれません。
選ぶ楽しみは、ほんの少しの違いから始まります。
どの針に使おうか。持ち歩き用?それとも、お気に入りの木製輪針の保管用?色もそれぞれ少しずつ違っていて、手元にあるだけで気持ちが上がるという方もいらっしゃいます。
「この色は、あの靴下針に使おう」「これは、もうひとセット買っておこうかな」
そんなふうに考えはじめたら、きっともう“自分のもの”になっているのかもしれませんね。
気に入っている輪針ほど、そっと守ってあげたくなるもの。そしてそれは、選ぶあなた自身を、大切にするということでもあるのだと思います。
細い輪針が活躍する季節が、ちょうど始まりました。ショールやレース、靴下など、繊細な編み物を手に取ることが多くなるこの時期。だからこそ、道具を守ることが、編み物そのものを心地よくしてくれるのだと思います。
静かに、でも確かに、“安心の習慣”を始めるのに、ちょうどよいときかもしれません。