こんばんは、細野カレンです。
この季節になると、自然と手にとる機会が増える素材のひとつに、コットンがあります。やわらかくて、肌にやさしくて、洗えて、軽やか。編み物でも春夏の糸といえば、まずこの素材を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
けれど、その「洗える」という当たり前の感覚が、実は昔からのものではなかったこと、ご存じでしたか。
かつてヨーロッパでは、ウールやリネンが主流だった時代、コットンは“異国の布”として受け入れられにくく、18世紀のイギリスでは、毛織物を守るためにインド綿の輸入が禁止されたこともありました。
ところが19世紀、家庭に洗濯という習慣が広まるにつれ、「軽くて洗える布」としての価値が見直されます。そこから一気に普及が進み、いまの私たちにとっては“当たり前の素材”としてすっかり暮らしに馴染むようになったのです。
つまり、コットンは“洗える糸”として定着するまでに、少し時間がかかった素材でもあります。
そんな背景を思い浮かべながら手にとると、ふだん何気なく選んでいた毛糸にも、少しだけ違う表情が見えてくるかもしれません。
たとえば、春や初夏に手がのびるあのやわらかさ。
肌ざわり、軽さ、編みやすさ――季節に寄り添うコットン糸たちを、ひとつのページにまとめました。
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それでは、今夜も穏やかな時間が続いていきますように。
細野カレンより