セーターの袖に毛玉ができると、専用のブラシで取り除きますよね。毛玉は、編み物をする人にとっては取り除く側のものです。
ところがツイードの毛糸は違います。編み地に散っている色とりどりの小さな粒。ネップと呼ばれるこの粒は、小さくフェルト化させた繊維です。ツイードの毛糸を作るときは、繊維をとかす工程でこれをわざわざ混ぜ込みます。手間をかけて毛玉を作り、糸に入れているわけです。
なぜそんなことをするのか。この粒があると、単色で編んでも編み地に色の奥行きが出るからです。一色で編んでいるのに、遠くから見ると何色も使っているように見える。ツイードの生地があの独特の表情を持っているのは、この粒のおかげです。
イギリスのローワンが作るフェルテッド ツイードは、その代表格にあたる毛糸です。ウールにアルパカとビスコースを合わせた並太で、色は63色。名前もトリークル、ジンジャー、シナモン、アボカドと、眺めているだけで楽しくなる並びです。
秋の毛糸を選ぶとき、編み地に何が起きているのかを知っていると、色選びが少し変わってくるかもしれません。
毛玉をわざわざ作る、その手間の答えが編み地に出ます。
フェルテッド ツイードの色を見てみる
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














