編み針の滑り方には、はっきりとした順番があります。もっとも滑りにくいのが木や竹の針。もっとも滑るのが、表面をメッキで覆った金属針。この二つのあいだに、無垢のステンレス針があります。
木の針で長く編んできた方が金属針に手を出しにくいのは、この滑り方の差が大きすぎるからです。一目ずつ手の置いた場所に目がとどまる感覚に慣れていると、つるつると進む針先は落ち着きません。速さと引き換えに、目を落とさないよう気を遣うことになります。
ところが、金属針であれば一律に滑るわけではありません。メッキ加工をしていないステンレスは、表面が金属そのものです。よく滑りますが、メッキ針ほどではない。木の針から持ち替えたときの差が、手のついていける範囲に収まります。
リッケのフライトは、この無垢のステンレスで作られた付け替え針です。リッケはバーチウッドの木製針で長く知られてきたブランドで、フライトははじめての金属針にあたります。木の針の手触りを設計してきた会社が金属で作った、という背景そのものが、木製針ユーザーにとっての安心材料になります。
針先は1本から選べます。セットを揃えなくても、いつも使う太さを1本だけ手に入れて、手持ちの木の針と並べてみることができます。速く編みたい気持ちと、目を落としたくない気持ち。その両方を持ったままでいられる針です。
木の針と並べて、持ち比べてみてください
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














