編み物をする方なら、デンマークのムーという名前をどこかで目にしたことがあるかもしれません。丸いプロジェクトバッグや、革の編み針ケースを作っているブランドです。
意外に思われるかもしれませんが、ムーは編み物のために生まれた会社ではありません。創業は2016年。道具を使って働く人のために、長く使える上質な革の道具入れを作る、というところから始まりました。編み物やかぎ針の世界に広がっていったのは、そのあとのことです。
そう聞いてから改めてバッグを見ると、細部の意味が変わってきます。ポケットの位置、ストラップの付き方、留め具の一つひとつに、飾りのための工夫が見当たりません。毎日その道具を持って出かける人が使うものとして考えられているからでしょう。結果として、その設計が編み針や毛糸を持ち歩く手にちょうど合っていました。
そして、しっかりしているのに武骨に見えない。デンマークのデザインというのは、こういうことなのかもしれません。
編み物の日にだけ使う道具として見るか、毎日持つ鞄として見るか。それだけで、同じものの見え方が変わります。
まずは、どんなものがあるのかを。
執筆:細野カレン(なないろ毛糸 店長)














