おはようございます、細野カレンです。
神戸の今朝は、ここ数日の季節外れのクレイジーな暑さから一転して、5月らしい爽やかな朝を迎えました。そんな今朝は、あの24色のなかでも、とりわけ自由で不思議な表情を見せる一本のお話です。
“クレイジー”という名をもつその毛糸――ツァウバーバール クレイジーは、初めての方には少し手が出しづらいところがあるかもしれません。ソックヤーンとしてはお値段が張りますし、模様の出方も予測がつきません。
けれど、だからこそ一度だけ紹介しておきたい。その“気まぐれさ”こそが、世界中のニッターを夢中にさせている理由なのです。
このクレイジーという毛糸、Ravelryには五万点近くの作品が投稿されています。その数を見れば、この糸がどれだけ多くのニッターに選ばれてきたかが分かります。
複雑な模様も、凝った編み方もいりません。ただ編んでいるだけで、気がつけば面白いグラデーションやリズムが生まれていく。その偶然の重なりを楽しむ糸なのです。
価格だけを見れば、たしかに他のソックヤーンよりも高く感じられるかもしれません。でもその一玉には、南米の広大な土地でとれるパタゴニア産ウールのやわらかさと、生分解性ナイロンのやさしさが詰まっています。
100gで420メートル。靴下はもちろん、ショールやミトンも編めるたっぷりの長さ。お洗濯も気軽で、使い始めてからの満足感も、きっと長く続いてくれる糸です。
この毛糸は、どこからどんな色が現れるか、編んでみるまで分かりません。同じ色番でも、玉によって表情の出方が異なることもあります。
だからこそ、「今、編んでみたい」と思ったそのときに手元にあることが、この糸では、いちばん大きな意味を持つのかもしれません。