Pro Lana：プロラナメリノスーパーキッド

”Stitch Definition”ってなあに？

海外毛糸の説明に頻繁に出てくるこの用語、どういう意味なんでしょうか？

Stitch Definitionとは？

もし、あなたが海外毛糸のウェブサイトを翻訳しながら見ていると、

「この毛糸は素晴らしいステッチ定義を持っています。」

というような、意味不明な翻訳に遭遇することがあります。

オリジナル言語が英語であれば、"The yarn has superb stitch definition."の日本訳なんですが、ちょっと何言ってるかわかんないですよね。

まあ、これが今の機械翻訳の限界だったりするんですが、これを編み物を趣味とするあなた向けに翻訳すると、

「この毛糸で編むと、とても鮮明な編み目の編地になります」

ということになります。

もう少し補足すると、特に模様編みなどをすると、編み目がはっきりくっきり浮かび上がる作品が編めるということです。

お堅い言い方をするならば、

「編み目の鮮明度」

ということになるでしょうか。

毛糸の種類による「編み目の鮮明度」

毛糸の説明で出てくる「編み目の鮮明度が高いんですよ！」という謳い文句は、「この毛糸は、滑らかでしかもしっかりと撚ってあるので、作品の模様や細部がはっきりと見えますよ」といった意味のセールストークなんですね。

では、「Stitch Definition：編み目の鮮明度」は高ければ高いほど良いのでしょうか？

答えは「NO」です。

なぜなら、

前述した通り、毛糸の素材、撚り方などによって、「編み目の鮮明度」は高くなったり低くなったりします。

例えば、細くて滑らかな糸で編んだ模様は、太くてふわふわした毛糸で編んだものよりも「編み目の鮮明度」が高いと言えます。

「編み目の鮮明度」が高いと、編み物のデザインが際立ちますが、伸縮性や柔らかさが少なくなることもあります。

逆に「編み目の鮮明度」が低いと、編み物のデザインが目立ちにくくなりますが、ふんわりとした質感や温かさが増すこともあります。

ということで、

「編み目の鮮明度」は、デザイン（見た目）を取るか、質感（風合い）を取るか、トレードオフの関係にあるんですね。

つまり、あなたのお好み次第ということになります。

柔らかく、しかも鮮明にする方法ってないの？

ふわふわしてて、しかも縄編み模様が３Ｄのようにくっきり出ているセーターが編めたら、とっても嬉しいですよね。

実は、そんな方法もあるんです。

ここでは、方法うんぬんより作品を見てみましょう！

百聞は一見に如かず

ですよ！

この毛糸、撚っていないシングルプライ毛糸です。

一般に、シングルプライ毛糸は「編み目の鮮明度」がとっても低い毛糸と言われています。

ところが、一番最初の写真の3つのどの作品を見ても、模様がかなりはっきりと見て取れますよね。

拡大写真を見ると、撚りをかけていない毛糸なので、糸が飛び出しているのがよく分かります（もちろん、これは悪いことではなく、ふわふわ感や独特の柔らかな風合いを生むんです）。

ちなみに、スーパーキッドモヘヤを混紡したメリノエクストラファインの毛糸です。

このように、素材の配合、太さ（重さ）、製造上の工夫、染色の工夫次第では、シングルプライ毛糸ですら「編み目の鮮明度」が高い毛糸を作り出すことができるんですね。

それでは、柔らかな風合いと模様の鮮明さを両立させた毛糸をご紹介しましょう！

シングルプライヤーン（ウィックライクヤーン）

「なないろ毛糸」にも何度か登場していますが、今回ご紹介する毛糸は「シングルプライヤーン」です。

ソックヤーンのように、何本かの糸を撚り合わせた糸とは異なり、一本だけの単糸で作られた毛糸です。

キャンドルウィックヤーンとも呼ばれ、蝋燭の芯のようにふっくらとした見た目が特徴的です。

シングルプライヤーンやキャンドルウィックヤーンは、ふわふわで軽くてやさしい肌触りが魅力で、特に暗い色やパターンによっては独特の立体感が出て素敵に見えます。

一方で、欠点としては撚りが弱いために糸割れしやすいという欠点もあります。また、細かい模様やレースなどは目立ちにくくなる可能性があります。

ですから、シングルプライヤーンはニッターさんの間では好みが分かれるようです。一部の人は、ふわふわで軽くてやさしい肌触りや独特の立体感を気に入っていますが、別の人は、糸割れしやすいことや細かい模様が目立ちにくいことを嫌っています。