おはようございます、細野カレンです。
今日は、ひとつの小さな物語から始めさせてください。
──
アマゾンの水面が朝の光を映し出すころ、レインボー・シェル号の汽笛が静かに響いた。
この船の船長は、穏やかで判断力にすぐれたカメのシルディ。甲羅には航海の知恵と経験がぎっしり詰まっていて、乗組員たちからの信頼も厚い。
「今日も、よい航路でありますように」
シルディ船長がそうつぶやくと、船の屋根にかけた灰色の帽子が、風にふわりと揺れた。
蒸気室では、エンジン担当のラベンダー嬢が元気にバルブを締めていた。
彼女のまとうスカーフが、蒸気の湯気の中で陽気に揺れている。
「準備万端!…だけどキャップくん、また何か細工してない?」
彼女が鋭い目を向けた先では、いたずらキャップくんが、こっそりネジを一つ取り替えていたところ。
オレンジと赤の帽子がぐるんと回転して、ごまかしの笑顔をつくる。
「まったく、油断も隙もないな…」
と、目を光らせるのは、船長の右腕を務める紅碧コンビの青年。
地図を片手に「船の進路、10度東へ。密林のあの入り江に近づく潮目だ」と、冷静に指示を飛ばす。
その指示を聞き届けたのは、陽気なナビゲーター。
ひだまりのような笑顔で、ターコイズの双眼鏡を片手に言った。
「入り江の先には、きっとバナナがたくさん実ってるよ!」
地図にない風景の予感に、船の中がふわっと明るくなる。
昼過ぎ、川岸の小さな村から子どもたちが手を振ってくれた。
「おーい!プレゼント持ってきたよー!」
と、笑顔の乗客たちがデッキから茶色の手編み袋を投げる。中にはお菓子や文房具、そして手編みの靴下も。
ブラウンの毛糸で編まれたその品に、村の子どもたちは瞳を輝かせた。
夕方になると雲行きが怪しくなり、川の流れも不安定に。
「ライフリング、準備を」
と静かに合図を送るのは、救命リングの編み手。
おだやかな水色の毛糸を手早く操りながら、救命具を1つ、また1つと準備していく。
彼女の存在があるだけで、船内に安心の空気が流れる。
そしてそのすべてを見守るのが、シーグリーンのマフラーを巻いた船出の合図の青年。
「いつでも戻れる。だって僕たちには船がある」
そう言って、再び次の朝の汽笛を鳴らす。
こうして、レインボー・シェル号の旅はつづく。
8人の乗組員たちは、それぞれの色と役割を胸に、今日もアマゾンを進んでいく。
──
この物語に登場する8人の乗組員たちのイメージをそのまま色にしたような毛糸が、Opalの最新作「レーゲンヴァルト21」です。
パッと目をひく色合いの中に、それぞれの個性が込められていて、まるで短編集のような世界観が広がります。
丈夫で毛玉になりにくいOpalの品質はそのままに、1玉ずつ物語を編むような感覚を楽しめるシリーズ。
自然保護活動への寄付付きという背景もあり、選ぶ理由がひとつ増える毛糸です。
編む時間に、少しだけ“冒険”のエッセンスを加えてみませんか。














