こんばんは、細野カレンです。
片づけようと広げた毛糸の山のなかに、ふと、手が止まる瞬間がありました。もう使うこともないかもしれないのに、不思議と手放せない色や、やわらかさ。
そういう糸、ありますよね。
何かに使おうと思って残しておいたはずなのに、いつのまにか箱の奥で眠っていたり。少しずつ違う太さや色で揃わない糸たちは、まとめて仕舞うには惜しくて、でも、使い道を決めるのも難しいまま、気がつくとたまっていきます。そんな“余り糸”の居場所を、もう一度あなたの手の中に取り戻してくれる道具が入荷しました。
ノルウェーの伝統的な糸巻き道具「ノステピン」を、チャオグーが現代のニッターの手になじむ形に仕上げています。この毛糸巻き棒を使えば、糸の中心から糸を引き出せる、美しい毛糸玉を自分の手で巻くことができます。
量が少ない糸でも巻きやすく、機械巻きと違って糸に負担がかかりません。表面は滑らかですが、滑りすぎない絶妙な仕上げがされていて、巻いたあとに糸玉を“スポッ”と気持ちよく外すことができるんです。
あるお客様は、「今まで棚にあった鍋の持ち手で糸を巻いていたけれど、これに替えてからは、巻く時間がとても楽しくなった」と話してくださいました。
また別の方は、「玉巻き機がないので、動画を見ながらゆっくり巻いています」と。
ただ巻くだけなのに、なぜか満たされる。それが、この道具の持つ力なのかもしれません。
くるくると糸を巻いていくうちに、あんなにも持て余していた糸が、しっくり手のひらに収まって、きれいに整っていきます。どこにも行けなかったはずの余り糸が、自分のなかでようやく「ここにあっていい」と思えるような、そんな心の動きが起こるのです。
そして、不思議なことに、巻き終えた糸玉を見ていると、「この色で何を編もうかな」と考えたくなります。道具というより、気持ちに区切りをつけてくれる“杖”のような存在かもしれません。
現在、チャオグーのノステピンは、少量入荷となっております。あの糸をどうにかしたいと思ったとき、そっと手に取れる場所にあると、きっと助けになります。