こんばんは、細野カレンです。
金曜日の夜がゆっくりと深まっていくなかで、今夜は少し、針の話をさせてください。
神戸は午後からしっとりと雨が降りはじめて、窓の外に静かな音がひとつ増えました。
こういう夜は、少しだけ意識が内側に向きやすくなりますね。
ふと、「編む人にとって気持ちいい針」って、どんなものなのだろうと考えていました。
編み目を落とさないように、手にぐっと力が入ってしまう。とくに3目一度などの細かな技法では、息を止めてしまうような緊張感があると、よく耳にします。けれど本当は、もっと静かに、楽に、編めるはずなのに。
針先がほんの少しだけ“滑らなさすぎない”ことで、「目が落ちるかもしれない」という不安そのものが、ふっと消えていく。そんな輪針があるのなら、試してみたいと思われる方も多いのではないでしょうか。
チャオグーの「レッドレース」は、ステンレスの針先に艶を抑えた仕上げがほどこされていて、触れたときの感触にわずかな“留まり”があります。この、少しだけ止まってくれる感じが、実はとても大きな意味を持っています。
目が落ちにくくなる。編みながら、慌てないで済む。
その違いが、編むリズムを変えてしまうのです。
一目一目が安心のなかで進んでいくことで、手も心もゆるみ、あの技法が「むずかしい」から「楽しい」に変わっていく。
そう語ってくださる方が、少なくありません。
あるお客様は、こう書いてくださいました。
「手持ちの針では目が何度も落ちてしまって諦めていた3目一度が、この輪針なら楽に編めました。今まで何だったの?と思うくらい、すいすい進められて、次は輪針セットが欲しいくらいです」
この「今まで何だったの?」という言葉が、とても印象に残りました。きっと多くの方が、似たような不安や諦めと付き合いながら編んでいらっしゃるのだと思います。
赤くナイロンコーティングされたスチール製のケーブルは、どんなに丸めても癖がつきません。マジックループにも最適で、針先との繋ぎ目も引っかかりなくなめらか。だから、コードのねじれに気を取られることなく、ただ目の流れだけを感じていればいいのです。
編むことに集中できる――そんな当たり前が、実際に使ってくださった方から聞こえてくるたびに、私も思わずうれしくなってしまいます。
サイズが刻印されているから、しまったあとも迷わない。
針先の反射が抑えられているから、夜でも目が疲れにくい。
編むという時間を、静かに支えてくれるたくさんの工夫が、見えないところに込められています。
色とりどりの毛糸を並べるように、道具もまた、自分の好みに合わせて選んでいい。そんな気持ちで、少しずつ愛着のある針をそろえていく時間も、編み物のたのしさのひとつかもしれません。