こんばんは、細野カレンです。
日が落ちて、街が静かになる頃になると、不思議と糸の手ざわりにも気持ちが向いてきます。昼のあわただしさのなかでは見過ごしていた質感や、色の奥行きが、夜の光の下ではゆっくりと浮かび上がってくるような気がします。
そんな空気のなかで、少しだけ素材のお話をさせてください。
今回の糸に使われている「リヨセル」という素材。聞きなれない方もいらっしゃるかもしれませんが、じつはとても身近な繊維です。
ユーカリなどの木からとれるパルプを溶かして、いちど液体にしたあと、再び繊維に戻して作られます。こうした製法を「再生繊維」と呼ぶのですが、そのなかでもリヨセルは、環境への負担が少ないやさしい素材として、いま静かに注目されています。
感触は、少しひんやりして、さらりとすべるような軽やかさ。
でも、ただなめらかというだけでなく、どこかやわらかくて、糸にふくらみがある。しかも水に強く、丈夫で、お洗濯にも向いています。
たとえば、赤ちゃんの肌着や寝具に使われることもあるくらい、やさしくて安心な繊維。
「肌にふれる糸」として、選ばれている理由は、こうした素材の性質にあるのです。
素材の名前を聞いたときには、ちょっと難しく感じるかもしれません。
でも、リヨセルは知れば知るほど、編む人の味方になってくれる素材。説明はほどほどにしても、指先が感じることは、案外正しいのかもしれませんね。
この糸と出会えるのは、あと2日だけです。
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また静かな夜に、心がほどけるような便りをお届けできますように。
心より、
細野カレン