こんばんは、細野カレンです。
今夜は、クリスマスの夜に残された「足あと」にまつわる、少しミステリアスで心に残る物語をお届けします。この足あとが導く先には、何が待っているのでしょうか。どうぞごゆっくりお楽しみください。
サンタの足あと
クリスマスイブの夜、雪が静かに降り積もる中、街は静まり返っていました。その街の一角に住む男、マサオは50歳。彼はクリスマスとは無縁の無粋な男でした。毎年この季節になると街は華やかな装飾と楽しげな雰囲気に包まれるけれど、マサオにとってそれはただの雑音に過ぎませんでした。彼は淡々と一人で夕食を済ませ、何の変哲もない一日を終えるつもりでいました。
しかし、その夜は少し違いました。窓の外にちらつく雪を眺めていたマサオは、ふと庭に続く道に奇妙な足あとが残っていることに気づきました。その足あとはどこからともなく現れ、彼の家の前を横切っていました。好奇心とは無縁のはずのマサオでしたが、なぜかその足あとが気になり、コートを羽織り外に出ることにしました。
足あとは庭を抜け、小さな公園へと続いていました。公園は普段からあまり人が来ない場所で、クリスマスの夜にもかかわらず人気はありません。マサオは降り積もる雪を踏みしめながら、その足あとを一歩一歩辿っていきました。不思議なことに、足あとはただ公園の中を進むだけで、どこか目的地があるようには見えませんでした。
やがて、足あとは公園の真ん中で突然途切れていました。その場所には、一つだけ古びたベンチがありました。マサオは立ち止まり、周囲を見回しましたが誰もいません。寒さが一層厳しくなる中、彼はふとベンチの上に何かが置かれていることに気づきました。それは小さな木箱でした。
マサオは半信半疑でその木箱を手に取り、蓋を開けてみました。中には、一対の小さな銀色のベルが入っていました。どこか温かみを感じさせるもので、ベルには「心を開けば奇跡は訪れる」と刻まれていました。マサオはその言葉を読み、思わず鼻で笑いそうになりました。しかし、どこか心の奥深くに静かな温かさを感じたのも事実でした。
マサオはそのベルを手に持ち、軽く振ってみました。鈴の音は澄んだ音色で夜の公園に響き渡り、その瞬間、不意に何かが変わったように感じました。周囲の雪景色が一層輝きを増し、遠くからかすかな笑い声が聞こえたように思えたのです。まるで世界が少しだけ優しくなったような感覚に、マサオは驚きと同時に心の中に静かな安らぎを感じました。
家に帰る途中、マサオはふと立ち止まり、周りの家々の灯りを眺めました。それまでは単なる雑音に過ぎなかったクリスマスの光景が、どこか温かく感じられたのです。そして、自分でも驚くことに、その夜マサオはあのベルを暖炉の上に飾り、ふとした瞬間にその音色を思い出しながら眠りにつきました。
翌朝、マサオはベルを眺めながら、思わず微笑みました。クリスマスとは無縁のはずだった男の心に、何かが芽生えたことを感じていたのです。その日から、マサオは少しずつ周りの世界に目を向けるようになりました。足あとが導いたその不思議な夜の経験は、マサオの心に小さな変化をもたらしたのです。
あなたも、この足あとが導いた物語に触れて、少しだけ心を開いてみませんか？
今回ご紹介するのは、「足あと」の図案です。クリスマスにぴったりのデザインで、あなたの作品に特別な温かさを編み込んでみてください。以下のリンクから図案をご覧ください。